秋の香りがこころをほどく”キンモクセイ”が教えてくれる巡りのちから

秋の香りがこころをほどく”キンモクセイ”が教えてくれる巡りのちから

ふと風にのって漂う、甘くやさしい香り。なんとなく懐かしくて新しい…香りは目に見えないのに、確かに心を動かす力を持っています。今日はそんな秋のキンモクセイについてお話しできたらと思います。

香りが導く、穏やかな時間

キンモクセイの香りには、呼吸を深くする不思議な力があります。秋は空気が乾き、体のめぐりや気持ちもどこか滞りがちです。そんなとき、甘く包み込む香りが胸の奥の緊張をゆるめ、自然と呼吸を整えてくれます。香りが鼻を通り抜けて脳に届くと、自律神経が整い、心拍や呼吸が穏やかになることが知られています。それはまるで、からだ全体が“季節と調和”を取り戻すような瞬間です。キンモクセイは、香りを通して私たちの内側のリズムを思い出させてくれる花です。

古くから伝わる「気の巡り」を整える花

キンモクセイは、中国では「桂花(けいか)」と呼ばれ、古くから“理気(りき)”——つまり「気の巡りを整える花」として重宝されてきました。胸のつかえ、緊張、ストレス性の不調などに、お茶やとして用いられてきたのです。理気とは、心と身体の流れをひとつにすること。文章にすると難しいですが、こころとからだがばらばらになるという感覚は、気分が沈んだ時になんとなく感じたことがあるのではないでしょうか。

香りがやわらかく心に届くと、感情の滞りや無意識のこわばりも、そっと溶かしてくれるはずです。キンモクセイは単なる“秋の香り”ではなく、私たちのからだを本来の状態に導いてくれるかもしれません。

秋のゆらぎとハーブティー

乾いた風が肌をかすめる季節は、呼吸器や消化器がデリケートになりやすく、冷えや倦怠感を感じる人も増えます。そんな時期におすすめなのが、キンモクセイを使ったハーブティーです。甘くやさしい香りが立ちのぼると、胸の奥に詰まっていた小さな緊張がすっとほどけていく。そんな優しい時間をゆっくりとると、不安も解けていくようです。

“香りを飲む”ような時間が、優しい生活を運びますように

香りで巡りを取り戻すということ

秋の香りには、寂しさと優しさが同居しています。冷えや乾燥が心まで重くしてしまうこの季節、一杯のハーブティーとともに、深い呼吸をしてみましょう。

香りがゆるやかに体をめぐり、再び自分の中に“やさしい流れ”が戻ってくるのを感じられるはずです。キンモクセイは、季節とともに心を華やかにしてくれる花。その香りを纏いながら過ごす時間は、忙しさの中でも「心の巡り」を取り戻す小さなきっかけを運んでくれるはずです。

優しい香りで心が整いますように

薬剤師が作るハーブティー専門店 Jasper Green