ミントはなぜ香るのか—ギリシャ神話ミンテと地下世界の物語

ミントはなぜ香るのか—ギリシャ神話ミンテと地下世界の物語

「ミント 神話」「ミンテ ギリシャ神話」という言葉を聞いたことはありますか?

ミントという植物の名前を知っていても、その語源や物語まで知っている人は少ないかもしれません。ミントの語源は古代ギリシャ語 μίνθη(mínthē)に由来します。このμίνθη(ミンテ)はギリシャ神話に登場する水の精霊の名前です。

このミンテは冥界の神ハデスに愛された水の精霊でした。

しかしその関係を知ったペルセポネの嫉妬により、彼女は地面に踏みつぶされ、香る植物へと姿を変えられたと伝えられています。この物語は、ギリシャの古典文献に断片的に記されています。しかし、ここで物語は終わりません。

ヨーロッパ神話に見る「地下世界と香り」

古代ギリシャにおいて、香りは目に見えない世界とつながる象徴でした。地面に踏まれた存在が、別の姿へと変わる。これはギリシャ神話における「変容(metamorphosis)」の重要なテーマです。ミンテは消えたのではなく、“香り”という形で残りました。つまりミントには、再生の象徴としての意味が重なっているのです。

ミントの香りと記憶

香りは時間を越えます。ミントの清涼な香りは、古代ヨーロッパでは清めにも使われました。失われたものを思い出として蘇らせる。それは、ミンテという存在そのものの象徴なのかもしれません。

ハーブティーとしてのミントは再生を象徴する飲み物

ハーブティーを淹れるとき、立ち上る湯気はまるで神話の世界から立ちのぼる霧のようです。踏まれても消えなかった精霊が、湯気とともに再び姿をあらわす。ミントティーは、ただ爽やかな飲み物ではありません。それは、物語を飲む行為なのではないかと思います。

三種のミントをブレンドするということペパーミント、スペアミント…それぞれ異なる香りを重ねることは、ミンテという神話を立体にすることかなと思っています。三種のミントティーには、そんな思いを込めました。

香りが、神話の歴史を紡ぎますように。

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